W124 E320 実用車のバランス No,2
私はW124をみがく時 いつも緊張します。
普通の緊張感ではない。
下地が出てしまう。
みがき屋にとって本当は最も恥ずかしい仕上がりとなる可能性が高い車種なのです。
その理由は今回の記事で追ってご紹介する事として・・・
このCピラー
凄い滲み方をしています。
その理由は、塗り手の技量が高くないから!

塗り替えられたパネルは
みがき手の 「カン」 だけが頼りです。
どんなに御崇高な理論を持ってきても
このようなメタリック塗装のクリアー層の厚みは計れない!!
鉄板までの厚みは計れても
クリアー層だけの厚みは、測定できないのです。
クリアーの厚みって見て判るの? と言われる事がありますが
それは経験とみがき手の目だけが知るものです。
それは水溜りを前にした幼稚園児のように
普通の大人ならば、直感的に水溜りの深さをわきまえるところですが
深さを悟ることなく足を踏み入れ 靴が水没してしまう行動と同じなのです。

カンと経験
そして、磨きを加えながらの状態の判断で作業を進めます。

みがき前のボンネット

みがき後です。

みがき前のルーフの前方です。

そして、みがいた後

ボンネットとルーフではみがきを加えられる量に差がありました。
ルーフはオリジナル塗装
しかし、激しいイオンデポジットが生じていました。
一方、ボンネットはイオンデポジットは少なかったが
塗り替えられたパネル
しかも、厳密に言えば・・・
手抜きの塗り替えで、下地の剥がし方が悪いため表面までクラックが生じていた。

左側車両前方となります。
サンルーフおよび天井にはオリジナル塗装にクラックが生じています。
みがきでは、コレには対処できないのです。
表面が割れているならば削り取れるのですが
内部まで深く割れていると、磨きでは歯が立たない。。。
この事は、作業前にオーナー様との打ち合わせの際に
明確にお伝えしておかなければならないことです。
さて、先に記したW124は私を緊張させる
その理由はコレです。

お預かりする際にオーナー様にもご確認いただいていますが
エッジ部分で下地が出ている。
W124では、エッジが立ち過ぎている箇所が多すぎるため
少しでもマスキングに手抜かりがあるとエッジ部分が抜けてしまう。(下地が出る)
そんなことすら考慮せず
ただポリッシングされた痕跡です。
恐らくは、中古車屋のなせる業? 荒行??
ハッキリ言えば 「中古車屋さん 安く仕上げるために自社でみがくのはお辞めください!」
せっかくの車両が台無しになってしまいます。
この角度から見るとW124のエッジのキツさを見ていただけるかと・・・
※抜けた部分はマスキングして (^^)

繊細な部分には、繊細に扱えるミニポリッシャーがなくては私は作業できません。

クルマの表面は鉄板ではなく
極々薄い塗装という、誠にデリケートな樹脂で覆われているのです。
だからこそ、美しい姿も見せてくれるが、傷つき易い。
一度でも雑な扱いを受けると
本来作業できるはずの厚みが失われます。
みがきは、引き算でしか成り立ちません。
修理屋さんや塗装屋さんは、引き算してから足し算できるから羨ましく思えることもあります。
※悪い部分を取り除いて、別のものに入れ替える事が出来る。
みがきにおいては、玄人面した素人の作業ほど酷いものはないのです。
DIYで磨きを掛けたい方も、この点をくれぐれもご了解いただいた上で作業を行なってくださいね!
ワンオーナーのW124が少なくなってきた今日この頃、私はW124を磨く時はいつもより緊張します。



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